編集部

東洋文庫ってなんですか?

長野

財団法人東洋文庫というのですが、駒込の六義園の近くにあります。
これはもともと岩崎久弥が私的に集めたモリソン文庫というすごく立派な中国近現代史の資料を基盤としています。
モリソンというのはオーストラリア人で、Times通信員だったんですね。彼が辛亥革命の前後に孫文とかなり親しい関係になって、中華民国政治顧問をしていた。その人が北京で配られるアジビラの類を全部集めた。本じゃないけれど、もちろん本もありますが、資料として非常に貴重なものを東洋文庫にモリソン文庫として持っていたわけです。それを元にして発達してきた図書館兼研究所なんです。
僕が修士課程を出た年に日本は中華人民共和国を承認した。中国から追われた難民はインドに逃れる。日本国としては難民との間に正式な関係は結べないわけです。だからその部分を東洋文庫に役割として振ったわけですね。北村先生や、1900年頃にチベットに実際に入った日本人が3人いますが、そのうちのひとり多田等観という人がいて、その人を東洋文庫は研究員として雇った。そこへ、ダライの亡命政府の支配下にある学僧や貴族を3人選んで日本に連れて来て、日本人と一緒に共同研究をするという体制が1966年頃に整ったんです。

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